遠見山古墳(とおみやまこふん)は、群馬県前橋市総社町総社にある古墳。形状は前方後円墳。総社古墳群を構成する古墳の1つ。国の史跡に指定されている(史跡「総社古墳群」のうち)。
概要
群馬県中部、榛名山東南麓・利根川西岸の前橋台地上に築造された古墳である。古墳名は墳丘が総社城の遠見櫓として利用されたことに由来する。これまでに数次の発掘調査が実施されている。
墳形は前方後円形で、前方部を南西方向に向ける。墳丘外表では葺石や円筒埴輪・形象埴輪(人物埴輪など)が検出されているほか、前方部北側テラスでは土師器14点(高坏・大型高坏・坏・直口壺)が集積した祭祀跡が検出されている。また墳丘周囲には周濠が巡らされる。埋葬施設は竪穴式石室と推測されるが、これまでの調査では未検出のため明らかでない。
築造時期は、古墳時代中期の5世紀後半頃と推定される。総社古墳群では最古に位置づけられ、総社地域が古代上毛野地方(上野国)の政治的・文化的中心となる過程を考察するうえで重要視される古墳になる。
古墳域は2024年(令和6年)に国の史跡に指定されている(史跡「総社古墳群」のうち)。
遺跡歴
- 総社城絵図に記載。
- 1991年度(平成3年度)、宅地開発に伴う確認調査:第1次調査(前橋市教育委員会、1992年に報告:城川I・II遺跡として)。
- 1994年度(平成6年度)、公民館建設に伴う確認調査:第2次調査(前橋市教育委員会、1995年に報告)。
- 2010年(平成22年)3月19日、前橋市指定史跡に指定。
- 2017-2018年度(平成29-30年度)、範囲確認調査:第3次調査(前橋市教育委員会、2020年に報告書刊行)。
- 2021年度(令和3年度)、範囲確認調査(前橋市教育委員会、2023年に報告書刊行)。
- 2024年(令和6年)2月21日、国の史跡に指定(史跡「総社古墳群」のうち)。
墳丘
墳丘の規模は次の通り。
- 古墳総長:106メートル - 周濠を含めた古墳全長。
- 墳丘長:87.5メートル
- 後円部 直径:52.5メートル
- 前方部 幅:58.0メートル
周濠の外側に外濠が存在すると仮定した場合には、古墳全長は136メートル程度と推定される。
文化財
国の史跡
- 遠見山古墳(史跡「総社古墳群」のうち) - 2024年(令和6年)2月21日指定。
関連施設
- 前橋市総社歴史資料館(前橋市総社町総社) - 遠見山古墳の出土埴輪等を展示。
脚注
参考文献
(記事執筆に使用した文献)
- 史跡説明板(前橋市教育委員会設置)
- 「東国の雄 総社古墳群」(パンフレット)(前橋市教育委員会事務局文化財保護課、2016年)。 - リンクは前橋市ホームページ。
- 地方自治体発行
- 『総社古墳群 範囲内容確認調査報告書I -遠見山古墳の調査-』前橋市教育委員会、2020年。 - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
- 事典類
- 松本浩一「遠見山古墳」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607。
- 前原豊「遠見山古墳」『続 日本古墳大辞典』東京堂出版、2002年。ISBN 4490105991。
関連文献
(記事執筆に使用していない関連文献)
- 『平成3年度 市内遺跡発掘調査報告書』前橋市教育委員会、1992年。 - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
- 『平成4年度 市内遺跡発掘調査報告書』前橋市教育委員会、1993年。 - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
- 『平成6年度 市内遺跡発掘調査報告書』前橋市教育委員会、1995年。 - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
- 『総社古墳群 範囲内容確認調査報告書II -遠見山古墳・総社二子山古墳・愛宕山古墳・宝塔山古墳・蛇穴山古墳の調査-』前橋市教育委員会、2023年。 - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
関連項目
- 総社古墳群
外部リンク
- 総社・清里の文化財を訪ねて > 遠見山古墳 - 前橋市ホームページ


