ザクスピード・881 (Zakspeed 881) は、ザクスピードが1988年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。デザイナーはクリス・マーフィーとハインツ・ツェルナー。チームが独自に開発した直列4気筒ターボエンジン、1500/4を搭載した。ドライバーはピエルカルロ・ギンザーニと、ドイツ人ルーキーのベルント・シュナイダー。決勝最高成績は12位。

概要

開発

881は前年の871の発展型であり、ターボエンジンの最後の年のマシンであった。881はザクスピードが自社製エンジンを搭載した最後のF1マシンであり、そのエンジンは640 bhp (477 kW; 649 PS)を発揮した。これは当時最もパワフルなエンジンの一つで、ホンダやフェラーリのV6エンジンとは10馬力ほど劣るだけで、アロウズが用いるメガトロンエンジンとほぼ同様の出力であった。ホンダエンジンを搭載したマクラーレンは15勝を挙げポールポジション15回を記録し、この他にポールポジションと勝利を獲得したのはフェラーリエンジンであった。ギンザーニは7回予選落ちし、シュナイダーは10回であった。881にとってネックとなったのは重量であった。881の車重は560 kg (1,230 lb)あり、これはマクラーレン・MP4/4、フェラーリ・F187/88C、およびホンダエンジンを搭載したロータス・100Tより約20 kg (44 lb)重かった。

1988年シーズン

ドライバーは前年のマーティン・ブランドルとクリスチャン・ダナーに代わってギンザーニとシュナイダーが起用されたが、両名ともシーズンを通して下位で自然吸気エンジン搭載車と予選通過を争った。前ドイツF3チャンピオンであるシュナイダーは、F1マシンに慣れた第4戦以後はほとんどのグランプリでベテランのギンザーニよりも速い予選タイムを記録した。

ドイツ人ルーキーのシュナイダーは開幕から3戦連続で予選落ちしていたが、第4戦メキシコGPで初めて決勝進出した。エルマノス・ロドリゲス・サーキットは高地のため空気が薄く、ターボエンジンにとってはアドバンテージとなった。自然吸気勢はパワーが25%落ちとなったが、ターボでは5%程でとどまった。シュナイダーは15位で予選を通過し、決勝では10位まで上がったものの、16周目にエンジントラブルでリタイアした。

シルバーストーンで開催された第8戦イギリスGPは、ターボ搭載車に有利な高速サーキットであったにもかかわらず、ギンザーニとシュナイダーは共に予選落ちした。このグランプリでザクスピードは予選通過できなかった唯一のターボ車であった。シュナイダーは自分とチームにとっての母国開催である第9戦ドイツGPで12位となり、これがチームにとってシーズン最高位となった。

881は速さが無いばかりか信頼性も欠けており、エンジンもしくはターボのどちらかがブローすることが頻繁であった。ザクスピードのドライバーは両名ともポイント獲得できず、その影響で1989年は予備予選に出場しなければならなくなった。

第12戦イタリアGP会場のモンツァで、「ザクスピード・ヤマハ」の結成が発表され、チームのF1参戦開始以来続けてきたザクスピード製エンジンでのチャレンジは881で終了となることが決まった。シーズンが終了すると881はエンジンを自然吸気のヤマハ・OX88に換装したテスト用車両となり、12月からシュナイダーと鈴木亜久里によってエンジンテストに使用された。

F1における全成績

(key) (太字はポールポジション)

参照

  • Roebuck, Nigel; Tremayne, David; Hamilton, Maurice; Jones, Alan (1989). Grand Prix World Formula One Championship 1988/89. Magenta Press Ltd. ISBN 0-908081-59-6 



ずんぐりエフワン・エンジン別

ザクスピード 861b ルマンの会ウェブサイト

Images of ザクスピード・881 JapaneseClass.jp

Zakspeed 841 specs, performance data

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